神奈川県相模原市緑区の障害者施設「県立津久井やまゆり園」に26日午前2時45分頃、刃物を持った男が侵入、わずか50分の間に入居者を次々と襲い19名が死亡、20数名が重軽傷を負っているという事件が発生しました。
犯人はこの施設の元職員、植松 聖(うえまつ さとし)容疑者(26)です。
植松容疑者とは一体どのような人物だったのでしょうか?
事件の概要や施設の内容、植松容疑者の事についてまとめてみました。
障害者施設「やまゆり園」連続殺傷事件まとめ
時系列
植松聖容疑者はこの施設の元職員で、女性が居住している東側窓ガラスを割って侵入。
止めに入った職員をしばり、鍵を奪って次々に犯行を起こした。
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午前2時45分頃 障害者福祉施設「津久井やまゆり園」から警察に「刃物を持った男が侵入した」と110番通報が入る。
この時職員は9人。結束バンドで縛られた人や、殴られた人もいたが職員が刃物で襲われた形跡は無かった。
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入居者が少なくとも45人が刺され、この内19人が死亡、20数名が重軽傷を負った。
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その5分後、植松容疑者のツイッターに「世界が平和になりますように。beautiful Japan!!!!!!」と書き込まれた。
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午前3時頃、元職員と名乗る20代の男が現場から7キロほど離れた津久井警察署に車で出頭。「私がやりました」と容疑を認めたため警察はこの男を「殺人未遂」と「建造物侵入の疑いで」逮捕した。
出頭した時は黒のTシャツにズボン姿、持っていたカバンには血の付いた刃物などが複数入っていたという。
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逮捕されたのは26歳の植松 聖(うえまつ さとし)容疑者。
植松容疑者は動機について、
「施設をやめさせられて恨みがあった」
「奴をやった」
「わたしは意志の疎通ができない人達を刺した事はまちがいありません」
などと供述しているという。
障害者施設津久井やまゆり園とは?
津久井やまゆり園は相模原市の北高尾山の南側にある山あいの地域にあります。
こちらの施設は社会福祉法人かながわ共同会が運営しており、定員160名、夜間や休日の食事、入浴などの介助を行っています。
やまゆり会は強度行動障害者を受け入れている障害者施設ということです。
(強度行動障害とは、自分の体を叩く、食べらないものを口に入れる、飛び出しなどを行う等の自害行動から、他人を叩く、噛みつく、物を壊す、大声で泣くなどの他害行動が著しく高い頻度で起こる障害です)
入居している方は18歳以上の成人で、その多くが知的障害や自閉症の患者となります。
夜間は入居者160人に対し8人の職員で対応するようになっていたようです。
施設は3万890平方メートルと非常に広く、作業棟や厨房棟、プールや体育館、グラウンとなどもあります。
施設内では日常生活の支援に合わせ、軽作業や生産活動、創作活動などの機会が提供されています。
入所者の方達が寝泊まりしている施設は4つに別れており、一つの棟に40人ほどが生活しています。
今年4月に防犯カメラを16台に増設。
警察もパトロールを強化していました。
事件発生時、職員は8人と警備員一人で夜勤にあたっていたようです。
定期的な鍵の交換はしておらず、自動的な外部警報設備は取り付けてなかったといいます。
植松 聖(うえまつ さとし)容疑者とは?
(画像引用 http://www.dotup.org/uploda/)
植松容疑者は津久井高校の福祉科を卒業後、帝京大学の教育学部へ進学。
高校時代はバスケットボール部に在籍しており、友人も多かったそうです。
植松容疑者の父親は教師で、その影響もあってか植松容疑者も教員をめざしていたようです。
高校時代の植松容疑者は非常に明るくみんなを笑わせるお調子者だったようですが、大学時代に整形や脱法ハーブの使用、入れ墨を入れるようになり、その性格は荒くなっていったようです。
大学4年の時に教育実習で母校の小学校へ。
植松容疑者は小3を担当したのですが、優しくて明るいと評判で、鬼ごっこなどを一緒にしていました。
その後は2012年の12月からやまゆり園の非常勤職員として働き始め、13年の4月に常勤職員となりました。
当初はまじめに働いていましたが、次第に様子がおかしくなっていったといいます。
14年の秋ごろには植松容疑者が施設内で入所者に暴力を振るっていたようです。
そして今年2月、衆院議長宛に「障害者470人を抹消する」「職員の少ない夜勤に決行する」などの手紙を書き犯行予告をしたため、警察に通報。
その後やまゆり会を運営する社会福祉法人・かながわ共同体が19日に面談、植松容疑者は自分の考えがわからないならとその日の内に自主退職をした。
そして同2月、植松容疑者は尿検査による大麻使用の反応と、「自傷他害のおそれがある」として市の判断により措置入院。
その際医師に対して「ヒトラーの思想が2週間前に降りてきた」と語っていた。
市は県察にこの結果を伝えず、症状が消えたとしてたったの13日で入院を解除されたようです。
(大麻は陽性反応が出ても捕まりません。(※所持は捕まります)陽性反応が出ても市に通報義務はないそうです)
その時植松容疑者は、「自分はどうかしていました。大麻の影響ではないか、反省しています」と答えていたといいます。
植松容疑者が通っていた理容室の店長によると、植松容疑者は「養護学校の教師になりたい」と語っていたが、今年の3月に話をした時は「意思疎通ができない重度の障害者の人は生きていてもしょうがない」と言い出したそうです。
いつ考えが変わったのかと尋ねると、
「最近です。神からのお告げがあった」と語ったといいます。
どうも2013年頃からおかしな言動が増えてきたように見える植松容疑者。
彼の変化に両親は気づかなかったのでしょうか?
植松容疑者の両親について調べてみました。
植松容疑者の両親と一人暮らしの理由
事件当時植松容疑者は5年ほど前から施設から800mほど離れている一軒家に一人暮らしをしていました。
この一軒家には20年ほど前から住んでいたようですが、4年ほど前容疑者の母親がノラ猫の餌付けをし、近隣住民とトラブルになっていたようです。
猫の糞害などにあい苦情をいうと、父親はまるで他人事のような対応をし、植松容疑者が「すみません」と頭を下げて、糞の処理をしていたようです。
その後も苦情が増え、母親はナーバスになり父親と一緒に東京郊外へ引っ越す事に。
職場が近かったからなのか、その後も植松容疑者は一人であの一軒家に住むことになったようです。
植松容疑者が退院後、警察が自宅訪問したが誰も出なかったため両親に連絡をした所、「(植松容疑者と)一緒にいる」と答えていたそうです。
という事はご両親は植松容疑者の措置入院について知っていたようですね。
植松容疑者の父親は今回の事件について、勤務先である小学校の保護者に対し、
「息子がとんでもないことをした。申し訳ございません」
というコメントを出し、それを校長先生が保護者に伝えたといいます。
そして母親の方は(元?)ホラー漫画家で、1990年代に読み切りなどのホラー漫画を執筆していたようです。
この件が今回の凶行に影響があったのかはわかりませんが、植松容疑者の異変に気づいて、そして止めてくれる人がいれば違った結果があったのかも知れません。
植松容疑者を知る人たちのコメント
・「まさかと思いました。礼儀正しい子でね。まさかあんな事件を起こすとは考えられない」(近所の人)
・「性格的に言うと今時珍しいいい青年です。ちゃんと挨拶できるしニコニコしてるし話せば分かるし」(近所の人)
・「やまゆり園で障害者を殺すですかね。障害者の人を全員殺して国が使っている税金みたいなものを使わなくして世界にお金が回るようにみたいな事を言っていました。「世界平和で歴史に名を刻むって、偉業を成し遂げたい、みたいな事を言ってました」(友人談)
・「明るくて、みんなに気の使える優しい子。大学時代の途中で入れ墨を入れ始めて。脱法ハーブを使い始めたのは大学4年生くらい。その2つをやり始めてから性格が荒くなったりイキがるようになりましたね。顔を整形していました。元々一重だった目が二重の目になっていて。鼻も高くなっていて、髪の毛も金髪になっていた。どうしたのって聞いた時に、自分の体にお金をかけてロレックス化(高級化)すると言っていました」(大学時代の知人)
・「(措置入院中は)ネコをかぶっていたじゃないですけど、演技しているっていうふうには聞きました。普通を装うっていうわけじゃないですけど『だましてやったぜ』と」(友人)
・「(退院後)まだおかしな事を言っていて、その時の印象は全然治っていない」(知人)
植松容疑者の手紙の詳細
そんな植松容疑者ですが、障害者に対する持論があったようです。
下記は衆院議長に宛てた手紙の内容です。
衆議院議長大島理森様
この手紙を手にとって頂き本当にありがとうございます。
私は障害者総勢470名を抹殺することができます。
常軌を逸する発言であることは重々理解しております。しかし、保護者の疲れきった表情、施設で働いている職員の生気の欠けた瞳、日本国と世界の為(ため)と思い、居ても立っても居られずに本日行動に移した次第であります。
理由は世界経済の活性化、本格的な第三次世界大戦を未然に防ぐことができるかもしれないと考えたからです。
私の目標は重複障害者の方が家庭内での生活、及び社会的活動が極めて困難な場合、保護者の同意を得て安楽死できる世界です。
重複障害者に対する命のあり方は未(いま)だに答えが見つかっていない所だと考えました。障害者は不幸を作ることしかできません。
今こそ革命を行い、全人類の為に必要不可欠である辛(つら)い決断をする時だと考えます。日本国が大きな第一歩を踏み出すのです。
世界を担う大島理森様のお力で世界をより良い方向に進めて頂けないでしょうか。是非、安倍晋三様のお耳に伝えて頂ければと思います。
私が人類の為にできることを真剣に考えた答えでございます。
衆議院議長大島理森様、どうか愛する日本国、全人類の為にお力添え頂けないでしょうか。何卒よろしくお願い致します。
文責 植松 聖
作戦内容
職員の少ない夜勤に決行致します。
重複障害者が多く在籍している2つの園を標的とします。
見守り職員は結束バンドで見動き、外部との連絡をとれなくします。
職員は絶体に傷つけず、速やかに作戦を実行します。
2つの園260名を抹殺した後は自首します。
作戦を実行するに私からはいくつかのご要望がございます。
逮捕後の監禁は最長で2年までとし、その後は自由な人生を送らせて下さい。心神喪失による無罪。
新しい名前(伊黒崇)本籍、運転免許証等の生活に必要な書類。
美容整形による一般社会への擬態。
金銭的支援5億円。
これらを確約して頂ければと考えております。
ご決断頂ければ、いつでも作戦を実行致します。
日本国と世界平和の為に、何卒(なにとぞ)よろしくお願い致します。
想像を絶する激務の中大変恐縮ではございますが、安倍晋三様にご相談頂けることを切に願っております。
植松聖
(住所、電話番号=略)
かながわ共同会職員
当初手紙は受け取ってもらえませんでしたが、翌日も訪れ座り込むなどしたために職員が手紙を受け取ったそうです。
その他の情報
※出てきた情報を追記していっていますので時系列は前後しています。
・精神保健福祉課の課長は「大麻反応が出ても警察に通報する義務が無いため施設に連絡していない。患者の人権も考え対応している」と答えている。神奈川県警の幹部は、「大麻反応のついては連絡なかった。対応に問題はなかった」「相模原市から大麻反応が出ていたとの情報共有があれば対応がかわったかもしれない」と答えた。
・去年の6月に東京八王子市で通行人の男性と口論になりケガをさせ、警視庁に書類送検されていた。
・植松容疑者の背中には般若やひょっとこの刺青が入っている。
・衆院事務総長はこの件に関して、「(手紙を受け取った翌日)神奈川県警が調査、対応を行っている旨の連絡があった。犯罪を予告するような話がございますたので、(警察が)こういう事を起こすな、と厳しく本人には話をしたと」会見で述べた。
・2月19日、やまゆ園は警察官立会の元、植松容疑者と面接。
人権侵害的な発言にに対し、「大変危険な考えである」と園側は伝えたが、「自分は間違っていない」と激しく主張し、その場で「ならば辞める」と発言したという。
・自宅の一階の居間から茶色に変色した微量の植物片がみつかっていましたが、鑑定の結果0.005グラムの大麻と判明した。
・怪我をした職員2人の内一人は鈍器で頭をなぐられていた。
・凶器は少なくともハンマー2本、刃物5本などを用意して犯行におよんだ。
・友人によると、植松容疑者は大学時代にヒトラーを取り上げた講義を受けたことがあり、その中で障害者や人種差別のディスカッションがおこなわれ、ヒトラーを崇拝していった。
・やまゆり園の入倉かおる園長との会話で「入所者は死んだほうがいい」と言ったので「その考え方はドイツ・ナチスの考え方と同じだよ」と言ったら「そういうふうに捉えられても構わない」というような表現だった。
・措置入院後、やまゆり園が植松容疑者の退院を知ったのは、植松容疑者の車を見かけた時で、市からは何の連絡も無かった。
植松容疑者のフェイスブックやツイッター
植松容疑者のフェイスブック https://www.facebook.com/satoshi.uematsu.58(現在は利用できなくなっています)
植松容疑者のツイッター https://twitter.com/tenka333
戦後最悪といわれているこの事件。
被害者の皆様にご冥福をお祈りいたします。