腸内環境が悪くなるとうつ病になりやすい?

 

この度国立精神・神経医療研究センターと、ヤクルトの共同チームが、「腸内環境が悪いとうつ病になりやすい」との研究結果をオランダの科学誌で発表した。

腸には善玉菌、悪玉菌というものがあるが、善玉菌の代表格であるビフィズス菌とラクトバチルス菌の数を健常者とうつ病者で比較してみる

と、実に3~5倍も差がでたという。

 

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ビフィズス菌の数:便1gに対して

・健常者 約100億個  ・大うつ病者 約32億個

ラクトバチルス菌の数:便1gに対して

・健常者 約398万個  ・大うつ病者 79万個

(国立精神・神経医療センター・(株)ヤクルト共同研究データ)

 

近年腸内細菌が健康に深く関わっているといわれている。

では何故腸内環境が整っていないとうつ病になってしまうのだろうか?

それはある物質の作用に関係する。

セロトニン

その物質とはセロトニンだ。

人は脳から分泌されるセロトニンにより、喜びや楽しさなどの幸せを感じる事ができる。

 

しかしセロトニンが不足してしまうと、落ち込んだり、やる気を無くしたり、ぼーっとしたりなどのうつ状態に陥ってしまうのだ。

そんなセロトニン、実は脳にはたったの2%しか無いのだ。

では他は一体どこにあるのかというと、なんと腸に90%あるという。

 

よって腸内環境が整っていないとセロトニンがうまく脳に運ばれず、うつ病になってしまうというのだ。

腸内環境がわるいと本当にうつ病になってしまうのか…。

 

これまで2万人の腸を診断してきた腸内環境のスペシャリスト、田中宏明先生が今日感テレビの取材で答えていた。

田中先生はうつ病と腸内環境の関連について「関連はある」と指摘する。

 

田中先生によると、うつ病の診断自体は非常に難しいが、気分が沈んでいる人やネガティブな人のうんちを調べると、腸内細菌のバランスが悪いという事が判明したという。

そこでそういう方々にどのような食事をとっているのか尋ねたところ、やはり腸内細菌が悪くなるような食事だったそうだ。

 

ここで少し腸内細菌の役割について知っておこう。

腸内細菌の役割

腸内細菌はラクトバチルス、乳酸球菌、ビフィズス菌、ロイコノストックなどがあり、人間の腸内には約100兆個、約1000種類以上の腸内細菌が生息している。

腸内の壁に腸内細菌がびっしりと張り付いた様子が花畑のように見えるので、腸内フローラ(花畑)と呼ばれているそうだ。

 

その腸内細菌の主な役割は、「病気にならない体(免疫)をつくる」事だという。

腸内細菌は善玉菌、悪玉菌、その他に別れており、

善玉菌であるビフィズス菌や乳酸菌は

 

・消化吸収の補助による健康維持

・感染防御+免疫刺激による老化防止

・代謝促進によるスリム促進

 

など、消化吸収の補助+αの働きをしてくれる。

対して悪玉菌であるウェルシュ菌、病原ブドウ球菌、大腸菌(有毒株)などは

 

・細菌毒素生産+発がん物質により病気+老化促進

・ガス発生により腹部膨満+体臭や口臭の原因

 

など、細菌毒素生産と発がん物質を作り出すとされる。

しかし悪玉菌の中には、O-157などの病気の元の細菌をやっつけてくれる機能があるため、ある程度はいてくれないと困るという。

 

そして善玉でも悪玉でもないピロリ菌などは日和見主義の菌で、善玉菌が増えると善玉菌のような働きをし、悪玉菌が増えると悪玉菌のような働きをしだすという。

奥が深い腸内細菌。

一体どのようなバランスがいいのだろうか?

バランスのとれた腸内環境とは?

バランスの取れた腸内環境のパーセンテージは下記の通りだ。

 

善玉菌(ビフィズス菌・乳酸菌など)が10~20%

日和見菌(バクテロイド・プレボテラなど)+その他が60~70%

悪玉菌(クロストリジウムなど)が10~20%

 

日和見菌のパーセンテージがこんなに高い事に驚いたが、これが理想の腸内環境のようだ。

では腸内環境を整えるためにはどうすればいいのだろう?

腸内環境の整え方

食事

アボカド

うつ病を改善させるためには腸内フローラを整えるのが大事な事だが、腸内細菌の良質なエサとなる食品を摂取する事が大切だと田中先生は言う。

 

おすすめは「めかぶ」「オクラ」「もずく」「ジュンサイ」「納豆」などのネバネバしたものを摂取することによって、短鎖脂肪酸を生成し、様々な効果を発揮してくれるのだ。

他にも「寒天」「ひじき」「わかめ」「昆布」などの海藻類

「ごぼう」「アボカド」「オクラ」「モロヘイヤ」「春菊」などの野菜類。

「キウイ」「バナナ」「リンゴ」「レモン」「柿」「もも」「いちご」などの果物類

などがおすすめだ。

運動

運動は運動でも腸内環境を整えるのにおすすめなのが舌を使った運動だ。

舌は全て筋肉でできたおり消化器官と連動しているので、舌を鍛えれば腸の毛細活動を活発にできるというのだ。

その運動方法とは、みらいクリニック今井一彰院長考案のあいうえお体操だ。

 

まず「あー」と大きく口を開く

「いー」と大きく横へ

「うー」と口を強く前に突き出す

最後に「ベー」と舌を下に突き出す。(ここが一番大事!)

 

もう一つは「舌先を尖らせ口のまわりを一周させる」を朝昼夜各10回づつ行うといいようだ。

 

腸は「第二の脳」と言われるほど神経細胞が多く、自律神経に深い関わりがある。

「うつ」とまではいかなくても元気が出ない日などは、食事療法とあいうえお体操をしてみてはどうだろうか。