※この記事は今では美味しくて当たり前の市販のお茶飲料の歴史、変遷を偏った個人の感想の備忘録。個人の感想です。

炭酸飲料が世の中を席巻していた時代に伊藤園が発売した「缶入りウーロン茶」がとにかく不味かったのを覚えている方はいるだろうか?

そもそも生まれてないから無いから知らないという方も多いと思う。

 

スポンサードリンク

 

1980年代、コカコーラを筆頭に炭酸飲料が大人気だった飲料商品。ポカリスエットが高級スポーツ飲料として鳴り物入りで登場!(当初は粉末で自分で薄めて作る)

飲料商品の多様化が始まっていた時代で当時はペットボトルなど無く、「スチールの硬い缶」か「瓶入りに王冠で蓋」タイプしか市場に出回っていなかった時代。

唯一のお茶飲料として伊藤園の缶入りウーロン茶が細々と発売していた時期でした。

このころの世相は「お茶は無料で飲むもの」という意識が強く、「わざわざお茶をお金を出して買う」というのは駅弁と一緒に「蓋の出来る容器」のお茶くらいでした。

街の自販機で稀に売っているお茶は「非常にレアな商品」で子供時代「炭酸飲料を買おうとして、横から悪戯でお茶のボタンをされ、本気で怒るも泣く泣くお茶を飲むしかないなど」

このころのお茶は「非常に不味い」が定説でした。

img_kan

不味い理由として今思えば

・どうしても急須で入れたお茶の味に日本人は慣れており、味の技術がまだまだ未熟だった

※お茶は無料で出されるもの、しかも淹れたて!があたりまえの時代に保存飲料はどうしても味が劣化しますし、わざわざ買いませんよね。

 

・味の好みもあるが当時のお茶はとにかく「激濃かった」渋みが強く、濃厚で人を選んだ。

※現代では薄味やお茶の香り、旨みがしっかりしている方が上品な味として好まれていると思います。

 

・今ほど売れていない時代だったので「安い茶葉」しか原材料として使えなかった※推測

※当時、現代では考えられないが、カンフー映画などの影響や中国は4000年の歴史もある凄い国で中国産のお茶は本場の茶という中国に良いイメージが消費者意識にあったと思います。国産茶葉の方が好まれるのは多少時間が経ってからですね。

 

・スチール缶で劣化が早く保存の技術も未熟だった。

※缶詰のような硬い缶で、プルタブも取れるタイプで密閉技術が一段階前の世代?でした。

 

などが考えられます。

%e8%87%aa%e8%b2%a9%e6%a9%9f

ウーロン茶戦争

そんなお茶飲料ですが1990年頃にペットボトル入りウーロン茶(1.5リットル大型)が発売されると一気に歴史が加速。

具体的にはアサヒ飲料とサントリーのウーロン茶戦争が勃発。急速に美味しいお茶に進化が始まります。

最初にペットボトル入りお茶飲料を出したのは伊藤園なのですが後発組のアサヒとサントリーが一気にシェアを伸ばし、日進月歩で味がどんどん変わって(美味しくなって)いきます。この頃の「ウーロン茶」はヒット商品になっており、ブログ主も「利きウーロン茶」が出来るほどウーロン茶にハマッっていた時期でした。

アサヒ飲料は中国福建省産1,2級茶葉のみ限定使用ですっきりとした味わいの中にわずかな雑味、サントリーはやや濃いめのしっかりとした味わい、伊藤園は相変わらず濃い、キリンはサントリーの2番煎じな少し薄い感じ、ダイドーはなんかウーロン茶というより緑茶風の味、その他サッポロ、ポッカもあったなぁ。(記憶が曖昧なので参考程度で)

熾烈なシェア争いが繰り広げられるも、当初アサヒ飲料優勢(文化人代表、石坂浩二のCMでイメージ戦略もよかった)だったと思うが、サントリーがビッタリと続き、商品リニューアル(数年後の消費者が味に飽きた)のタイミングの頃に逆転!サントリーが覇権を握るが、その後の緑茶ブームで緑茶戦争へ発展しウーロン茶ブームは終焉し、定番化する。(実際の売上は知りません、個人の感想です。)

烏龍茶ブームのおかげで各メーカーが競い合った結果、「お茶の味が急速に進化」したのが1990年前半~中頃でした。

 

緑茶戦争勃発

日本で初めて缶入り「お茶飲料」、ペットボトル「お茶飲料」を開発したのに「時代が早すぎ」て後発組に遅れをとった伊藤園がこのまま黙っているはずがありません。

他社が烏龍茶の開発競争で売上を上げる中、伊藤園は緑茶の「おーいお茶」で反転攻勢(正しくは独自路線の同時期進行)を仕掛けます。

「お茶は無料」という意識が徐々に「美味しいお茶はお金を出して飲むもの」「炭酸飲料は体に悪い、お茶は健康」と変わって行きはじめた時代でした。

「駅のお弁当と一緒にお茶をどうぞ」といった切り口から販売が徐々に増え、「おーいお茶」は大ヒットし、濃いお茶など派生商品も出て今では定番化した人気商品となります。

烏龍茶戦争に参戦していたアサヒ飲料も「十六茶」で追随、人気を博します。サントリーは「烏龍茶戦争」の勝者となったせいか緑茶戦争への参戦は後の伊右衛門まで遅れます。アサヒと同じくキリンもビールの売上争いが忙しいのか「生茶」まで本格参戦していません。

ただ烏龍茶戦争に参戦しなかった巨大企業、業界最大手のあのメーカーは「緑茶戦争」に満を持して参戦。

 

スポンサードリンク

 

爽健美茶の嵐(そうけんびちゃ)が市場を飲み込む?

「烏龍茶など興味ないわ!!」(と思われる)と参戦しなかった「コーラ、炭酸飲料の覇者」世紀末覇者コカコーラが「緑茶戦争」には参戦。

※後に烏龍茶ブランド「ファン」は発売

お得意のイメージ戦略、店頭での大型販促キャンペーン、最大の設置数を誇る自販機での販路を駆使し一気に「爽健美茶」をトップブランドへ押し上げます。

その勢いはお茶は「爽健美茶」のみでよいと錯覚しそうな位の大ヒットを記録。(※注、個人の感想です。)一時期ブログ主も爽健美茶しか買わないときがありました。

爽健美茶のヒット要因に「今までに無い味」というのがあると思います。十六茶は「いかにもお茶」という味ですが、爽健美茶は紅茶に寄りのオシャレな味で「飲むと健康になれそうなスッキリ感」という絶妙なブレンドです。それでいて「お茶」は逸脱していないのでヒットしたと思います。

%e5%86%b7%e3%81%88%e3%81%9f%e3%83%9a%e3%83%83%e3%83%88%e3%83%9c%e3%83%88%e3%83%ab

最終兵器「綾鷹」

2000年代に入り、「爽健美茶の嵐」と共存、乗り切った各社の代表的ブランド、「伊藤園のおーいお茶」、「キリンの生茶」、「サントリーの伊右衛門」など。

各社の代表的なブランドが発売された時は激しかった緑茶戦争ですが、インターネットの普及もあるのか「個人の趣味志向が多岐にわたる」時代となった現代では各社一定の定番商品となり、膠着状態(平和)が続いていたと思います。

そんな落ち着いた中にコカコーラが最終兵器を持ち出します。

その名は「綾鷹」

各社のいいところどりをした「緑茶中の緑茶、パーフェクト緑茶」で万人に受ける平均の味の追求に追求を重ねた「緑茶の王様」が登場します。(※注、個人の感想です。)

スッキリとして、かつ香り、甘み、旨みも程よくあり、ほんのりとある雑身も隠し味、見た目も薄緑がかった色で「オリ」(※お茶の沈殿物)も極わずかあって逆に好印象をもたれます。(※注、個人の感想です。)

しかも価格面でも最大手ならではの安売り、焼畑農法(販売)で一気に市場を席巻。爽健美茶の再来を思わせるも、各社ブランドのリニューアル、ラインナップの拡充で対抗。個人の趣味志向が多岐にわたる現代では昔のようにテレビ(マスコミ)の絶大な影響力がなくなり、最小限の打撃で済み、根強いファンに支えられ各社のブランドは乗り切ります。その中でキリンの生茶が販売終了になるピンチが昨年あったがリニューアルで乗り切って看板を守っています。(※注、個人の感想です。)

%e3%81%8a%e8%8c%b6%e3%81%a3%e8%91%89

紅茶戦争もこっそり

キリン「午後の紅茶」が強すぎて次に戦争が起こるとすれば紅茶かもしれません。

ポカリスエットで一世風靡した大塚製薬も「ジャワティー」が撃沈。

飲料最大手のコカコーラは「紅茶花伝」でお茶を濁し、サントリーは「リプトンレモンティー」を申し訳なさ程度で販売している。

キリンの牙城を崩す飲料メーカーは現れるか?

 

まとめ

昔は「不味かった」お茶飲料も競争によって美味しく生まれ変わっていきました。

お茶に限らず、食品全般「レベルが格段に上がった」と言えると思います。

食の安全意識、美味しさの追求、保存等の技術も上がった現代ですが、じつはまだまだ進化の途中なのかもしれません。

これからも美味しいお茶を開発して頂き、飲んでいきたいですね。