新ルールが決まる度に物議をかもすF1。
そんな新ルールを引っ提げてスタートした2016年の開幕戦。
『オーストラリアグランプリ』のフリー走行こそ無難に進んだが、予選が始まると新予選方式の悪い部分が一気に出てしまった。
そして21日、各チームの代表者により全会一致で撤廃が決まった。
当然の結果に思われたのだが、なんとFIAのF1委員会で承認されず第2戦も新予選方式が継続されることとなった。
そもそも『この新予選』
一体なぜこんなに物議を醸しているのかを簡単に説明しておこう。
昨年までのルールは、予選Q1、Q2、Q3と時間内に3つとも指定順位に入っていなければノックアウト(予選敗退)となっていたのだが新予選方式では経過指定時間に1人づつノックアウト方式となった。
その為各セッション開始時は各車コースに出るが、1回目のタイムを出す(ほぼベストラップ)とタイヤを温存するためアタックを止めてしまい、ガレージに籠ってしまうという非常につまらない事態が発生した。
現代のF1では車の性能が順位を大きく支配している為、ドライバーのほとんどがある一定のタイムを出すことができ、それを覆す事はほぼ不可能な状況に陥る。
結局Q1、Q2、Q3と台数が減っていくのだが、昨年までは残り時間ギリギリに最後のアタックラップを刻む為、各社出走しタイムアップ時(最後の計測ラップ)には何番手に入ったとドラマがあったのだが、新予選方式では早々に今できる最速ラップを計測し、「もう大丈夫だろう」とアタックを止め、残り時間があるにもかかわらず予選を止めてしまうドライバー続出、フジテレビNEXTの視聴者から「セッション中にも関わらずマシンを降りて体重計測に行くドライバーを初めてみた」と言われる始末。
昨年までは最後のQ3時には少しでも順位を上げよう落とさないよう残り数分間はかなりの台数が出走していたが今年の開幕戦オーストラリアグランプリでは最後のQ3でルイス・ハミルトンが昨年のポールポジションタイムを2.5秒上回るタイムをセッション序盤に記録したにもかかわらず、その後残り時間があるのに誰もアタックをせず、コース上にマシンがいない事態が発生。
昨年までは残り時間ギリギリはラップタイムの更新が続き、順位が変動していたものだが、今年は予選スタートすぐに一定のタイムを出し、その後はタイヤ温存(決勝でも使う制限があるため)し出走しないマシンが続出、観戦しているファンも残り時間があるにもかかわらず観戦スタンドを後にするという非常に盛り上がらない予選となってしまった。
これを受けてオーストラリアグランプリ決勝後、関係者は以下のように発言している。
・ベッテル氏
「みんなが何に驚いているのか分からない。何が起きるのかは、すでに言われていたことだ。(中略)もう批判はし終わっている。この方式は間違ったものだ」
・レッドブルのホーナー代表
「私からすれば予選は機能していなかった。ここにやってきたファンには謝罪するべきだと思う。(中略)非現実的なことに固執せず、まずは適切な対処することが重要だ。個人的には、以前の予選方式に戻すのが良いと思う」
・メルセデスの非常勤会長であるニキ・ラウダ氏
「クリスチャン・ホーナーに全面的に賛同する。(中略)誰もがミスを犯すものだが、今回は大きな間違いだ」
・メルセデスのヴォルフ氏
「新しい予選はとんでもなくばかげていると思う」
・バーニー・エクレストン会長「(予選を)見たが、初日は熱狂するようなものではなかったと言わざるを得ない。かなりひどいものだった。とはいえ、変更がない限りはこれが予選のやり方だ」
新予選方式となった2016年シーズン、悪夢はまだまだつづきそうだ。