『遺体ホテル』と聞くとまるで小説かゲームのタイトルのように思えるが、遺体ホテルは実際に日本に存在しているホテルだ。
では一体なんのホテルなのか、というと、その名の通り遺体を安置するためのホテルだ。
ホテルに遺体?と思われるかもしれないが、そこには現代社会が抱える複雑な事情がある。
厚生労働省によると年間の死亡者数は約130万人にのぼるという。
130万人といわれても中々実感が湧かないが、ざっと京都市の人口分ぐらいの死者が年間で出ている事になる。
中々凄い数だ。
10年前の2006年の死亡者数は108万人なので、どんどん増え続けているといえよう。
さらに団塊の世代が80代になる2030年あたりには160万人に達する見込みだという。
死者の数は増え続けているにも関わらず、葬儀場の数は一向に増えないのだ。
それは葬儀場を建てようと思っても、近隣住民の反対に遭うからだという。
このような話を聞くと「必要なものなのだから反対するな」という意見が出るが、実際に自分の家の隣に出来るとしたらやっぱり反対しないとは言い切れないので住民を責める事はできない。
それはさておきそのような事情で都市部では葬儀場の数が圧倒的に足りず、希望の時間に火葬のができない『葬儀難民』が発生しているのだ。
繁忙期だと火葬まで1週間以上かかるという。
そこで登場するのが『遺体ホテル』である。
遺体ホテルの概要
さて、この遺体ホテル、一体どのような所だろうか?
こちらのホテルは大阪市北区のご安置ホテル『リレーション』だ。
外見を見る限り、普通のビジネスホテルとほとんど変わらない。
入口も物々しい雰囲気もなく気軽に入れそうだ。
安置室は落ち着いた雰囲気で、ゆっくりと故人とお別れできそうだ。
もちろん保冷設備を完備しているため遺体の保存も可能となっている。
安置室以外にも控室・式場・宿泊施設などがあり、スタッフも24時間常駐しているため安心だ。
ちなみにお値段の方は
・通夜・告別式・火葬を行う家族葬が45万円(税抜き)
・告別式と火葬のみを行う1日葬が30万円(税抜き)
・火葬だけで送る火葬式が18万5000円(税抜き)
となっている。(2016年4月現在。他にも色々あるようなので、詳しくはリレーションのHPをご覧ください)
本物のホテルとほぼ変わらない設備の『遺体ホテル』。
困った時は利用してみてはいかがだろうか?