イギリスSKYTAX社の全世界空港格付けランキング2016年度版で、羽田空港が世界で最も清潔な空港第一位に選ばれました。
羽田空港が選ばれるのは2013年、2014年に続く3度目の受賞です。
その羽田空港の清掃員を指導している責任者、新津春子さんはお掃除の本なども出版されているお掃除のプロです。
そんな新津さんのお掃除術とはいったいどのようなものなのでしょうか?
TBS系列の番組、金スマで紹介されていたのでそれをまとめてみました!
新津春子さんとは?
お掃除術の前に、新津さんの経歴に少し触れておきましょう。
新津さんは日本人残留孤児の父親と、中国人の母親から生まれました。
そして新津さんが17歳の時一家で日本へ移住、家計を助けるために高校へ通いながら清掃のバイトをはじめました。
父親以外日本語をしゃべれず、出来る仕事が清掃しかなかったためです。
そのため新津さんは差別などを受け、非常に辛い思いをします。
そんな新津さんですが、23歳の時羽田空港の清掃員になります。
その後、全国ビルクリーニング技能競技会に出場、見事2位に輝くも、その結果を不満に思った新津さんの上司に「(掃除に)心がこもっていない」と指摘されます。
「清掃はやさしさ」だと気づいた新津さんは、環境マイスターの称号を与えられるまでになり、掃除のプロフェッショナルとして今も多方面で活躍されています。
「清掃員は社会の中で(地位が)低いんだけど(中略)私たちは普通の清掃員ではなく職人でもあるんですよ」
「この仕事が大好きです」
そんな新津さんの掃除術とは、どのようなものなのでしょうか。
新津流清掃術
その1、ステンレス(素材を守る)
まずは冷水器を掃除する新津さん。
冷水器についている黒ずみや虹色の汚れの原因は空気中のほこりやカルキ、そして口をゆすいだ時の脂分などです。
これを放っておくとステンレスの劣化はまぬがれません。
約80種類の洗剤を使いこなしている新津さんは、まずは中性洗剤で優しくなでるようにして表面の脂分を取り除きます。
次に、こびりついた黒ずみを落とすため、強い酸性洗剤を使うのですが、ステンレスに酸性洗剤を使うと強力過ぎて素材を傷めてしまう事があります。
そのため濃い洗剤が10秒以上とどまらないようこまめに水を吹きかけるそうです。
続いて研磨剤入りの洗剤で強めにこすり、細かい傷を目立たないようにします。
細かいところまで掃除し、ステンレス製の冷水器はピカピカになりました。
その2、トイレ(奥の奥まで)
新津さんはトイレの便器を掃除する時、スポンジを使って直接手で磨いています。(ゴム手袋は着用)
ポールを使うと届かない部分や、洗えない部分が出てくるため、手で洗っているそうです。
そしてさらに便器の裏に鏡を入れてくまなくチェックされていました。
その3、人が見ない所まで(見えない場所がカギ)
他にも新津さんはゴミ箱とゴミ箱の間や、自動ドア上部の指紋、階段の手すりの裏の汚れ、オブジェに積もったほこりなど、普段人が気づかないようなところまで細かく気づかれていました。
洞察力がとても高いようです。
その4、授乳室(やさしさ)
それまで優しく指導していた新津さんですが、ある場所の清掃状況を見た時にとても怒り出します。
それは授乳室です。
給湯器のカルキ跡、ゴミ箱の奥の床の黒ずみなどを見て、「ここ、子供の部屋なのよ。問題はそれなのよ」といいました。
他にも椅子の間の汚れや椅子に落ちているつまようじなど、子供の手が汚れる事や子供がつまようじでケガをしないかなど、特に子供にたいしてはとても気を使われていました。
「人が使うから(清掃を)やる。そういう気持ちがあるとみんなが丁寧に(清掃を)やろうとする。その気持ちが必要なんです」
と、気持ちの大切さを語りました。
そんな新津さんが教える、家庭でもできる掃除のテクニックを見てみましょう。
家庭でもできるプロの掃除テクニック
道具は100円ショップなどでも手に入るものなどでも良いそうです。
そして今回はなんと、タレントで新婚のキンタローさんのお家をお掃除しました。
独身時代は汚部屋で有名だったキンタローさんの家は物がとにかくごちゃごちゃしています。
掃除の前に掃除のための導線をつくる事からスタートです。
するとそこには、3つの頑固な汚れが発見されました。
その汚れとは…
コンロ付近の油汚れ
コンロについた油、周りの壁に飛び散った油、バーナーキャップの油の粒々など。
油汚れは時間が経つと、落としやすいサラサラの状態からベトベトの油になるそうです。さらにその上に油が飛んでくると油は酸化し分子が結合、カチカチの油へと変化してしますのです。
特にバーナーキャップは一番熱が通ってしまうので一瞬で酸化し、何層もの油汚れができてしまいます。
そんなやっかいな油汚れの落とし方ですが、油汚れは酸性なのでアルカリ洗剤をつかうのだといいます。
アルカリ性洗剤は刺激が強いのでゴム手袋を着用するのがおすすめですが、垂れた油が皮膚や服につかないようにゴム手袋のふちを少し折った方がいいそうです。
スイッチについた手垢や換気扇についた油脂などもアルカリ洗剤を使います。
五徳やバーナーキャップなど
まず60度ぐらいのお湯にアルカリ洗剤を混ぜたもの(5倍に薄めたもの)に五徳やバナーキャップなどをつけ、5~6分待ちます。
すると油汚れが取れてくるので薄めたアルカリ洗剤水を使って、浮いた油汚れをスポンジで洗い落とします。
しかしそれだけでは落としきれない汚れがあります。
それに対して使うのは、研磨剤入りのアルカリ性洗剤です。
アルカリ性洗剤の裏に研磨剤の表示があるものを使います。
この洗剤は研磨成分が下にたまってしまっている事が多いので振って使います。
この作業をする時はキッチン台に傷がつかないように新聞紙を引いておくと良いようです。
さっそく油汚れにより焦げがついた部分をこすっていくのですが、ここで注意してほしいのが、全体をこすってしまうと傷がついてしまうので、油汚れがついている部分だけを磨くという事です。
するとピカピカになります。
タイルの汚れ
油が飛び散ったタイルの掃除をする前に、コンロが汚れないように新聞紙とガムテープで養生します。
その後薄めたアルカリ性洗剤水をスポンジにつけ、優しくタイル全体に塗っていきます。
そしてその後で下から上へ向かって力を入れて擦っていきます。
円を描くようにこすると、タイルの目地の汚れも落ちやすくなります。
最後に堅くしぼったタオルで拭いていきます。
油汚れの予防ですが、五徳などは使った後すぐに食器などと一緒に洗った方が良いようです。
コンロは使い終わったら冷めないうちにタオルで表面を水拭きすると汚れが落ちるようです。
炊事周りの汚れ
蛇口
シンク付近の汚れといったら水垢です。
水垢の原因は水道水に入っているカルシウム系の成分のせいでできるのだといいます。
カルシウムはアルカリ性の汚れなので、今度は酸性の洗剤を使います。
そこで登場するのがクエン酸です。
まずは蛇口付近の水垢を水で湿らせ、そこへクエン酸をそのままかけます。
もしクエン酸が水で流れていくようでしたらそこへティッシュを置くと流れていかなくなります。
そのまま10分ほど待ってからタオルなどで拭きとるときれいにピカピカになっています。
シンクの中
シンクの中の汚れは研磨剤入りのアルカリ性洗剤で少し力を入れて削り落としていきます。
なんと研磨剤には、傷を消す(見にくくする)効果もあるそうです。
こちらも水で洗い流せば新品のような輝きになっていました。
水垢を防ぐ方法ですが、シンクや蛇口を使い終わったら、空拭きを心がけると良いようです。
浴室のカビ
カビを取るのにはカビ取り剤を使うのですが、それには一つポイントが。
カビ取り剤は原液で使用するものなので、カビ取り剤を使う場所は濡れていない方がいいのだそうです。
そしてカビ取り剤の基本的なかけ方ですが、カビがついている所を下から上にかけていったほうが液が垂れる落ちるスピードが遅くなるので下から上の方がオススメです。
カビ取り剤をスプレーしてから10分後、ブラシで浴室を磨く
細かい場所は使わなくなった歯ブラシを使うと効果的です。
ちなみに予防法は、カビの栄養源を取り除くため、浴槽全体にお湯を掛けて溶かして落としておき、タオルなどで水気を取った後はドアは開け、常に湿度と温度を下げるために換気をしておく事が大事なようです。
掃除箇所がきれいになる度に無邪気に喜ぶ新津さん。
「清掃は自分の人生のそのものなんです」
そう語る新津さんの姿はとても輝いいました。