老後破産という言葉を最近よく耳にしますが、老後の不安、とりわけ年金に対する不安を感じている人も多いのではないでしょうか。
そんな老後の不安の救世主になりうる新たな年金制度がいま注目されています。
その年金制度とは個人型確定拠出年金です。
個人型確定拠出年金って何?
個人型確定拠出年金とは、国民年金や厚生年金などの公的年金とは違う個人年金の一つで、節税のメリットが非常に大きな年金となります。
こちらの制度は10年以上前からスタートしていた制度ですが、今までは入れる個人が制限されていました。
それが現役世代の方ならたとえ専業主婦でも大半の人が入れる制度になったのです。
この個人型確定拠出年金について理解を深めるために、少しだけ年金制度について説明します。
年金とは?
年金には『公的年金3種類』と『個人年金』があります。
それぞれ違いについて簡単に説明します。
公的年金とは?
公的年金とは社会保障の観点から国が行う年金の事です。
公的年金はその人の立場によって三つにわかれています。
・第1号被保険者・・・国民年金(基礎年金)だけの加入の人、自営業者やフリーター、無職などの人が対象。
これだけだと将来もらえる年金が基礎年金だけになってしまうので国民年金基金という任意の年金制度に加入して将来の不足分を補う制度が平成3年より始まりました。
・第2号被保険者・・・国民年金(基礎年金)にプラスして、追加で会社員は厚生年金、公務員は共済年金に加入している人が対象。
収入に応じて掛け金が厚生年金、共済年金共に高くなるが将来もらえる年金額も比例して増えます。
掛け金の約半分は個人負担、残りの半分は雇用している企業負担です。
・第3号被保険者・・・専業主婦(夫)が対象。
1号2号の加入者に扶養されている配偶者を「国民年金に加入しているとみなす制度」で国民年金(基礎年金)しか加入出来ない。
個人年金とは?
個人年金は、上記年金制度にプラスして入る事ができます。
個人がそれぞれ保険を積み立てる事によって将来年金を受け取る事が出来る制度です。
節税や金利の面で銀行よりもメリットがあります。
個人年金には
・自営業者などが任意で加入する「個人型確定拠出年金」
・会社員が任意で加入する「企業年金」「個人型確定拠出年金」「企業型確定拠出年金」
が在るのですが、公務員、専業主婦は「個人型確定拠出年金」に加入が出来ないという制限が今まではありました。
平成29年1月より公務員、専業主婦も加入できる
そんな自営業者などや会社員(企業年金が無い厚生年金被保険者)しか加入出来なかった「個人型確定拠出年」ですが、この度、公務員、専業主婦、企業年金に入っている会社員も来年1月(2017年1月)より加入出来るようになったのです。
特に専業主婦は国民年金(基礎年金)しか掛けれなかったので将来もらえる年金額が少ないという不安を減らす手段が増えたといえるでしょう。
そんな個人確定拠出年金について詳しく説明していきます!
個人型確定拠出年金を詳しく説明
この年金は他の年金と違い、決められた限度額内で証券会社や銀行などの金融機関が販売している「拠出年金の投資商品」に投資し、その運用実績により将来もらえる年金が増減するのが特徴です。
プラスになる事もあればマイナスになる事もあるリスクのある年金ですが長期的にはプラスになっていくように金融機関が運用していってくれます。
デメリットとしては短期的には大きくマイナスになる場合もあります。
金融機関の商品の主な物
・預金(元本保証だが利回りがかなり低い)
・債権(リスクもあるがリターンも期待できる)
・その他不動産投資信託(債権と株式の中間ぐらいのリスク、リターン)
・株式(ハイリスク・ハイリターン)
上記が主な商品ですが、上から順にリスク低~高・リターンも低~高となっているので良く見極めたうえで選択が必要となってきます。
今までの拠出限度額と加入資格者、改正後は
・企業年金制度のない厚生年金被保険者(会社員)の場合 月23,000円(年額276,000円)
・自営業者など 月68,000円(816,000円)
だったのですが、法改正により上記以外の人にも加入資格が拡大し、
・民間会社員の妻(夫)、公務員の妻(夫)(第3号被保険者)年額276,000円
・公務員等共済加入者(第2号被保険者)年額144,000円
・確定給付型年金のみに加入している会社員(第2号被保険者)年額144,000円
・企業型確定拠出年金に加入している会社員(第2号被保険者)年額144,000円(企業年金加入者)と年額240,000円(企業年金非加入者)※但し企業年金等の規定で、マッチング拠出を行わないこと及び個人型確定拠出年金への加入が認められている場合に限る。
となりました。
個人型確定拠出年金のメリット、具体例は?
・掛け金が全額所得控除になる
・運用益が全額非課税(普通の投資運用益は20%の課税)
・受給時の控除枠がある
といった突出した「節税効果」が大きなメリットとなります。
資産運用で注目されたNISA(運用益120万までは非課税)よりも節税効果が高いと言われており、金融機関による顧客争奪戦になりそうなほどです。
例1)年100万円の課税所得の人で、月1万円ずつ積み立てした場合、年18,000円の所得税と住民税を節約でき、仮に10年なら180,000円の節税できます。
限度額はあるが、掛け金は多いほど有利になります。
例2)年500万円の課税所得の人が月2万円づつなら年72,000円、10年なら72万円の節税効果です。
上記例いづれの場合も年金の受取時にも退職所得控除か公的年金等控除の対象となります。
例3)例2の人が仮に30歳で月2万円の掛け金で年複利3%の利回りを得た場合で60歳になった時
・元金2万円×360ヶ月=720万円
・60歳までの運用益 448万円
・60歳までの所得控除による節税額 216万円
合計で元金720万円に対し「1384万円」の年金となります。
個人型確定拠出年金の注意点
解約はできない(60歳以降の給付のみ)。
掛け金は年1回の見直ししかできない。
となっており、途中でプランを変えたいと思ってもすぐには変えれないので実際に加入する際には注意が必要となります。
また金融機関によって加入料、手数料(月額維持手数料)などいろいろあるのでせっかくの節税分が目減りする事もあります。
将来の年金の不安のある方、節税なども含めた資産運用を考えている方、平成29年1月から始まる制度改正を機に加入を検討してみても良いかもしれないですね。