JR博多駅前の陥没事故から一年。
陥没の規模の割に死傷者が出なかった事や道路復旧の速さが海外で絶賛されたり(再び7㎝沈下したりもしましたが…)、店の前が陥没したセブンイレブンが「落ちないコンビニ」として受験生の聖地候補になったりと、何かと話題になっていました。
↑陥没当時の写真
ブログ主も次の日早速様子を見に行きましたが、遠くからはあまり見えませんでした…。
そんな博多陥没事故、掘削工事再開の目処も気になりますが、周辺店舗には一体どのような補償が行われたのかも気になります。
今日は陥没現場周辺店舗の方が補償についてテレビでお話されていたので、それをまとめてみたいと思います!
JR博多駅前陥没事故の補償は?
周辺店舗への補償は大成建設などの工事業者が全額負担する事になっています。
陥没事故に伴う補償請求は437件あり、その内98%に当たる429件がすでに合意。
総額約4億9,000万円が支払われているという事です。(11月6日現在)
補償額の算定は前年度の利益+人件費などを考慮した限界利益がベースとなっているため、事業者の方にとっては十分な補償とはいえないようです。
(限界利益とは、簡単にいうと全体の売上高から変動原価を差し引いたものになります)
被害に遭われた方は実際にはどのように思われているのでしょうか?
今日感テレビで取材されていたのでまとめてみたいと思います!
居酒屋さんの場合
陥没現場から約45m離れた居酒屋ふとっぱらさんは、いつ営業が再開できるのか分からず不安を抱えていたといいます。
ビル周辺の交通規制のため結局9日間営業できませんでした。
しかし店舗が再会する事になっても誰からの謝罪もなかったと言います。
去年4月に駅前の大型商業施設KITTE博多にオープンしたこちらの居酒屋さんは順調に売上を伸ばしていました。(前年比約一割アップ)
しかし陥没事故による休業が大きく響き、去年11月は前年の85%ほどに伸び悩んだそうです。
この営業できなかった日の補償は一ヶ月半前にようやく決着しましたが、その補償額は希望額の半分だったと言います。
しかしやっと決着した事で、すっきりした気持ちで営業できるとお店の方は言われていました。
歯医者さんの場合
陥没現場から約40m離れたむらつ歯科クリニックさん。
開業して25年になるむらつ歯科クリニックさんは当日と翌日の2日間営業できなかったといいます。
営業できなかった事で患者様に大きくご迷惑をおかけしたという医院長。患者さんの6~7割が県外からというこちらのクリニックでは、多くの患者さんが飛行機や電車をキャンセルされたといいます。
さらに患者さんの個人情報のデータが中々引き出せず、連絡がつかなかった方には金銭的な負担をかけてしまったと申し訳なさそうに言われています。
そんなむらつ歯科クリニックさんですが、なんと補償を受けることができませんでした。
その理由はちょうど一年前、先代の医院長が亡くなり死亡退職金を支払ったため、一時的に赤字を計上していたからだそうです。
医院長は国での決まりだと言われ、色々思う所はありましたが他でも同じ対応をしているなら仕方がないとその条件を飲まれたようです。
ただ、陥没事故のせいで治療を受けることができずに帰宅した患者さんには市から交通費が補償されたようです。
全体としては大きな不満はないという医院長。
しかし復旧が早かった事で事故が無かった事になっている気がするのが心配なようです。
カフェ店の場合
陥没現場から約35m離れたカフェ「杏」さんは3日間営業できませんでした。
喫茶店を営んで56年になる杏のオーナーは今でも行政への不信感を強く持っているといいます。
1週間位はバタバタしていてもいずれお客様は戻ってきてくれると思っていたオーナーさんですが、お客さんはとても怖がっており、ランチタイムも空席が目立つようになったそうです。
そんな杏さんの補償額は雀の涙ほどだったそうです。
被害を受けるのは受けた人たちだけの事なんだなという事がつくづく分かったと言います。
工事をする時などにお金が掛からない方がいいという行政の感覚にも納得がいかないようです。
皆様の話を聞くと補償に対して「納得はできないけれど仕方がない」というようなどこか諦めに近い感情を感じます。
各店舗への補償額は公表されてないのでわかりませんが、4億9,000万円を単純に429件で割ると一店舗あたり約114万円になるので、陥没現場から近いお店や売上規模の大きな店舗などにはもう少し大きな補償があったのかもしれません。
福岡の中心地で突然起きた陥没事故。
これからはこのような事故が起きないようにしてほしいところですね!