みなさん福岡(博多)の食と言えば何を思い浮かべるだろう?
もつ鍋や水炊きを思い浮かべる方も多いと思うが、やはり福岡と言えばとんこつラーメンだろう。
今回は福岡より発祥し、いまや全国的に有名になったラーメン店『博多一風堂』(株式会社力の源ホールディングス)がなんと、福岡の老舗うどん店『因幡うどん』を受け継ぐ(事業承継)というのだ。
ラーメン店がうどんの事業を受け継ぐというニュースに福岡の街はびっくり。
一体何故このような事になったのだろう?
そこには一風堂の社長の想いが隠されていた。
因幡うどんは昭和26年創業に創業、今年で65年目の古くから県民に親しまれてれている老舗うどん店だ。
因幡町商店街から始まり、今では福岡市内を中心に4店舗展開しているが、商品の質を落とさないためににこれ以上の出店は控えたのだという。
麺は軟らく、塩気は効いているが少し甘味もある出汁が特徴だ。
天神、博多駅界隈でうどん食べようと思った時、この因幡うどんに立ち寄るという人も多いだろう。
そんな歴史ある老舗うどん店が『後継者不在』でピンチに陥っていたという。
因幡うどんの代表取締役『竹崎敏和』社長は信頼できる事業者への事業承継を検討をしていた。
そこで候補に挙がったのが株式会社力の源ホールディング(博多一風堂)だ。
博多一風堂は福岡市中央区大名にて31年前に創業。関東や海外にも出店している福岡を代表する人気ラーメン店のひとつだ。
そして力の源ホールディングスは過去に、同じく後継者不在に悩んでいた福岡市東区の人気ラーメン店『名島亭』をグループ入りするなどし、名店の暖簾を守った実績がある。
しかしうどんとラーメン、その違いに不安はなかったのだろうか?
株式会社力の源ホールディングス取締役会長、小川剛さんが今回のいきさつを語った。
「因幡うどんさんが後継者の方にずいぶん困っていらっしゃるという事で因幡うどんの事業を引き継いで継承してくれる所っていうのを探されていた。
その中でウチ(一風堂)にもうお話がありましてですね、やっぱり博多の伝統あるブランドですからこれはやっぱり引き受けないといけないと思いこういうことになりました。」
「うどんもその粉食、おんなじ粉ですので僕たちがずっとやってきたその粉の知識というのももちろん生かせるはずですし、その下地があったうえで、その~因幡うどんさんのその技術とかですねそういうことを勉強していければなと思っています。」
テレビのインタビューでそう答える小川会長。
5月までは因幡うどんと関連会社の経営で6月1日より事業承継となるが承継後も従業員も全員雇用、今まで通りの事業方針のままで運営する。
同じ博多の味を守りたい、そして老舗の技術を学びたいという小川会長のその姿勢。
これからも『因幡うどんの味』は守られ続けていくだろう。
ここでちょっと福岡の麺事情について語っておこう。
福岡はラーメン店よりうどん屋が多い!?
全国的には福岡、博多=「とんこつラーメン」や「もつ鍋」が有名になっているが、真の名物は「やわらかい軟麺のうどん」と言っても良いくらい福岡はうどん激戦区なのだ。
福岡の街を散策するとラーメン店も目立つが、それと同じぐらいうどん店も目立つ。
ネットでは「福岡はラーメン店よりうどん店が多いの?」と質問されるくらいだ。
「ラーメン」も「うどん」も激戦区の為、出店、閉店が多く正確な店舗数は出ないのだが、 NTTタウンページに登録されている店舗数は「うどん店933」、「ラーメン店1172店」とラーメン店が実際には多いのだがそれに匹敵するほど、うどん店も多いのが解る。
うどん店はチェーン展開している地場企業が強く西日本に広く展開している「ウエスト」、福岡市都市圏中心に展開している硬麺、中麺、軟麺が選べる「牧のうどん」、北九州市都市圏を中心に展開している定食、牡丹餅もおいしい「資さんうどん」(注:すけさんうどん)が3巨頭でそれに製麺業界から参戦「小麦屋」がBIG4(個人的意見)を形成。
全国展開している、硬いうどんの「丸亀製麺」を苦戦させるほど軟らかめのうどんが人気なのが福岡県。
中洲キャナルシティ近くにある「かろのうろん」も軟らかい麺で有名な人気店で、ラーメンは硬くうどんは軟らかく、同じ小麦粉でも正反対な使われ方をしている面白い県だ。
そんな軟らかい麺が主流の福岡、ではどこのうどんが一番軟らかいのだろうか?
軟らかいことで有名なのはざっと『因幡うどん』『牧のうどん』『かろのうろん』の3つだろう。
ネット上を探索してみたが、どこも甲乙付けがたいようだ。
この3店舗に共通するのは、麺がスープを吸い続け、あたかも麺が増えたように錯覚するところだ。
3店舗の引き分けか?と思われたがしかし牧のうどんには実は秘密兵器がある。
牧のうどんにはメニューにはない『超軟麺』があるのだ。
みなさんも一度頼んでみてはいかがだろう。
うどんはやわいが、ラーメンは硬い
ラーメン店では全国的にはチェーン展開している「博多一風堂」「一蘭」が有名だが、集英社の週刊少年ジャンプに連載された漫画ナルトの作者岸本斉史さんが大学在学中に食し、作品中にも登場していた「一楽ラーメン」(現在最初の本店は閉店したが親族、暖簾分けの店舗は営業中)もある意味全国的に有名。
その他多数の人気店が福岡にはあるのだが、ほぼ全ての店舗で注文時に「麺の硬さはどうされますか?」と聞かれる。
大半のお客が「カタ」「バリカタ」と麺の湯で時間が短いラーメンを注文するのだが、もし旅行で来られる方のためにここで特性を記しておこう。
(※個人の意見です)
・バリカタとは生の麺がギリギリ食べれるか食べれないかと思えるほどかろうじて麺がゆでられた状態
・カタは来た瞬間は麺がゴムように固いが次第に普通ぐらいになっていく状態
・普通は福岡感覚だと普通(本州の人に言わせるとまだ固いらしいがよくわからない)
・ヤワは安心して小さい子に与えられるくらい湯通ししたふにゃふにゃ麺(のびる一歩手前、早く食べないとのびるのだが熱くて小さい子には「ふーふー」してあげないといけない「そしてその間に親のラーメンが冷えるという悪循環」)
店や人によって違う部分もあると思うが、良かったら参考にしてほしい。
因幡うどんの食べログはこちら↓
「ソラリアステージ店」天神、西鉄福岡駅地下2階 ソラリアステージ味のタウン内