縁日でおなじみの『カメすくい』

「紙」「もなか」を選び、泳いでいるカメをすくうおなじみのゲームなのだが、もなかの溶けるスピードの速さには唖然としたものだ。

ビニールシートに包まれた枠の中で手のひらサイズの小さなカメがぴょこぴょこ動いている姿は可愛らしく、ぜひ「家で飼ってみたい!」と思う家庭も多いと思われるがちょっと待ってほしい。

このミドリガメ(正式名称ミシシッピアカミミガメ)、実は外来種で今、日本の生態系が脅かされているというのだ。

環境省の発表によると自然界に生息しているミドリガメの数は日本だけで推定800万匹、在来種のニホンイシガメが約98万匹程とみられているので、その数は約8倍にものぼるとみられる。

日本の侵略的外来種ワースト100にも指定されているこのミドリガメは大きいものだと30㎝にまで成長し、もしこのカメが水草のみを食料にした場合、毎週約320トンの水草が消失することになるという。

そのため在来種のニホンイシガメの生息域を奪うだけでなく、貴重な水生植物まで損なわれているのだ。

そのため同省は駆除の態勢を強化し、2020年を目途に輸入を禁止するという。

駆除するぐらいならもう少し早く輸入禁止にすればいいのにと思うが、大人の事情があるのだろう。

環境省と一緒に調査を行った東邦大学理学部の長谷川雅美教授は

「これだけ多くの外来種が日本にすみついていることが初めて明らかになった。今後、どの程度駆除に力を入れるべきか判断するうえで重要な指標となる」

と語った。

 

ではこのミドリガメ、一体どのような生き物なのだろう。

その生態を探ってみよう。

 

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ミドリガメの生態

ミドリガメ

(引用 環境省)

正式名称はミシシッピアカミミカメ

流れの緩やかな川・池・沼などに生息し、水草が生い茂る場所を好む。

食性は雑食で、水草や花、魚やカエル、貝に鳥類に果ては小動物まで、水辺にいるものはほぼ何でも食べるようだ

時々池のカメにパンを投げている人がいるが、そこは雑食、パンも食べれるようだ。

日光浴が好きで、晴れた日にはコンクリートの上などで甲羅干しをする姿が見受けられる。

うちの近所のため池にもミドリガメが30匹ぐらい生息しており、いつもコンクリートの上で甲羅干しをしている。

また餌をくれる人間に懐いているのか、貯め池をなんとなく覗いていると頭だけを出した数十匹のカメが一斉にブワーっと寄ってくる姿は非常に怖い。

ミドリガメは冬になると冬眠をするのだが、暖かい日は個別に起きてくる事もあるという。

西の方は暖かいので冬でも意外と起きている姿を見かける。

体調は大きいもので30㎝にもなり、オスよりもメスの方が大きいという。

ミドリカメは1回の産卵で2~23個の卵を年に2~3回に別けて生み(多いと年5回)、その卵は60~80日で孵化する。

繁殖力はとても高い。

ちなみに寿命も30年ほどあるため中々数が減らないのだ。

それにしてもこのミドリガメ、一体どういう経緯で日本に入ってきたのだろう。

それは意外にも、アメリカの事情が絡んでいるという。

 

ミドリガメの歴史

1950年代、ミシシッピアカミミガメは当時ペットとして人気があり、アメリカ南部の方で養殖されていた。

しかし飼い主たちが不衛生な環境でカメを飼っていたためサルモネラ菌が発生。

カメが感染症の原因とされ、1975年以降は10センチメートル未満のカメの輸入や流通が規制される事となった。

アメリカ国内でのミシシッピアカミミガメの流通が規制されてしまったため、養殖業者は海外に向けて輸出を強化した。

それが日本にも流入し、ミドリガメと呼ばれたその亀は1匹500円程度という事もありすんなり受け入れられた。

しかし飼い主の中には途中で飽きてしまったのか、思ったより大きくなったため面倒を見切れなくなったのか、カメを水辺に捨てる者が出てきた。

汚水に強いミドリガメはどんどん繁殖し、放ってはおけない事態となった。

日本では増え続けているミドリガメ、本場のアメリカやメキシコでは生息地の環境破壊やペット用の乱獲が原因で数が減少しているという逆転現象も起きている。

 

最初は小さくてかわいいミドリガメ。

体長約30㎝寿命30年という事を肝に銘じ、最後まで家で飼育できないようなら安易に飼わないようにしたい。